ナイアシンアミド配合の化粧品(医薬部外品)が多数販売されています。シワと美白、バリア機能、さら皮脂のコントロールを目的に配合され、近年は、シワ、シミ、くすみ、たるみの改善する成分として注目されています。一方で、「ピリピリ」して赤みを伴うかゆみが発生する「ナイアシンフラッシュ」を敬遠する向きもあります。この点については、誤解もあるようなので、この記事でご説明します。
目次
1.ナイアシンフラッシュは、ナイアシンアミドでは起きない
ナイアシンフラッシュは、ナイアシンに肌が反応して熱を帯びて赤くなる現象で、時に「ピリピリ」痛みを伴うこともあります。
ただ、現在、シワ・美白対策に用いられるナイアシンアミドではナイアシンフラッシュは起きにくい、ほとんど起きない、とされます。「ナイアシン」と「ナイアシンアミド」が紛らわしいことから、誤解される方もあるようです。
ナイアシンとナイアシンアミドは似てはいるものの、異なる成分で、肌・身体への働きも違います。
ナイアシンとナイアシンアミドの違い
ナイアシン、ナイアシンアミドは共にビタミンB群に属し、ビタミンBの1つです。
紛らわしいのは、「ナイアシン」は、「ナイアシン」と「ナイアシンアミド」をひっくるめた総称でもあることです。
別名で見ると、その違いが少し見えてきます。
・ナイアシンの別名はニコチン酸です。
・ナイアシンアミドの別名はニコチンアミドです。
つまり、ニコチン酸とニコチンアミドの2つをひっくるめて、「ナイアシン」と呼ぶことがあるのです。
まだ、紛らわしい?(笑)ですね。
もう少し、専門的(化学的)には、ナイアシンアミド(ニコチンアミド)はナイアシン(ニコチン酸)の前駆体であり、ナイアシンアミドはナイアシンを生成する前の段階の物質なのです。ナイアシンフラッシュは、主にナイアシンに見られる現象で、ナイアシンアミドにはほとんど見られない現象です。
重要なことは2点。
1.シワ・シミ対策の化粧品の有効成分として使用される「ナイアシンアミド」は赤くなってピリピリする「ナイアシンフラッシュ」は起きません。
2.ナイアシンフラッシュは、主にサプリメント等で健康的な栄養価を目的に配合される「ナイアシン(ニコチン酸)」によって発生し、ナイアシンはシワ・シミの改善効果は、あまり期待できません。ナイアシンの健康効果は注目に値します(後述)。
ナイアシンとナイアシンアミドのそれぞれの効果は?
下記にナイアシンとナイアシンアミドの効果の違いを記載しますが、ポイントは、化粧品でシワ・シミ・美白などを目的に配合されるのは「ナイアシンアミド」で、その効果は、厚生労働省が抗シワ成分として承認にしています。
ナイアシンの機能、効果
・エネルギー作り
・脂質や糖質の分解(ダイエット効果)
・皮膚・粘膜の炎症を防ぐ
・神経症状を防ぐ
・血管拡張作用(肩こりの解消、冷え性改善に効果)
・痴呆防止効果
・うつ症状の緩和など精神面の安定。
これらの効果全般から、アンチエイジングに寄与すると考えられます。
ただ、アンチエイジングといっても、シワやシミに直接的に効果があるわけではなく、皮膚の健康や血行促進など、身体の基礎的な健康効果であり、美容面に際立つ効果はありません。
(ただ、健康増進効果は美容面にも良い影響があることは事実です。)
したがって、健康増進系のサプリメントや、肩こり・冷え性対策に使用されます。
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ナイアシンの血管拡張作用は、人によっては一過性で顔面紅潮、上半身のほてり、かゆみ症状が現れることがあります。これがホットフラッシュ、あるいはナイアシンフラッシュと呼ばれます。ナイアシンフラッシュは、健康促進や医療施術として意図的に発生させる場合もあり、メリットとデメリットが両方あります。(後述します。)
ナイアシンは、ナイアシンアミドに比較すると化粧品への配合例は少ないですが、皮膚コンディショニング剤やヘアコンディショニング剤に配合されています。
ナイアシンアミドの機能、効果
代表的な効果は、下記の通りです。
・肌のバリア機能の改善(グルコシルセラミド、スフィンゴミエリンおよびセラミド合成促進による)
バリア機能が働くと、肌は外部からの刺激から守られため、内側の水分が蒸散するのを防ぐことができる。→乾燥を防ぐ、強い保湿効果があります。
・シミ、くすみの改善や美白効果(メラノソーム輸送抑制によるメラニン・色素沈着抑制作用)
・シワやたるみの改善(コラーゲン減少改善による抗シワ・抗老化作用)
・抗炎症作用もあるから、ニキビ跡や色素沈着の改善にも使える。
・皮脂をコントロールする働きがあり、ベタつきやテカリが気になるオイリー肌や混合肌に適しています。
ニキビ改善では化粧水「The Ordinary」が有名ですね。
最近、ナイアシンアミドが特に注目されている点は、シワ改善・シミ改善に加えて血行を促進し、肌のターンオーバーを促進し、セラミドの合成を促して肌荒れを防ぐことも起因しているようです。
ナイアンシンアミドの副作用、副反応・留意点<ビタミンCとの併用>
副作用・副反応について
ナイアシンアミドは薬ではないため、基本的に副作用はありません。 また肌への刺激もあまりなく、
一般に普通肌から敏感肌までさまざまな肌質の方が使用できるとされています。
ただ、万人にOKとは言えず、「肌に合わない」ことはあり得ます。
どんな化粧品(医薬部外品)でも、かゆみや赤みが出る可能性はありますの。
肌に不安がある方は、購入前のパッチテストを行いましょう。
腕の内側に化粧品を少量塗り、30分後に異常がないか確認します。
ナイアシンアミド・ビタミンCとの併用に関する注意点
ナイアシンアミドとビタミンC配合の化粧水の併用は、危険との情報がネット上に多く見られます。
「併用ダメ」と「併用OK・問題なし」、2つの意見、両方が見られます。
発端は、上記にもご紹介した「The Ordinary」の使用上の留意点にビタミンcとの併用に関する注意書にあるようです。
「The Ordinary」は、カナダの製品であり、並行輸入品も多く出回っており、その注意書きの日本語訳もマチマチ。
正解は、こちらの解釈と思われます。☞ナイアシンアミドとビタミンc系化粧品の併用に関する解釈
カンタンに言えば、ピュアビタミンCなど高濃度ビタミンcとの同時併用は避けて、午前・午後に分けるこをが推奨されているようです。(ただ、ピュアビタミンCとの併用でも問題なしとの見解もあります。)
なお、ビタミンC誘導体であれば、全く問題なく、ナイアシンアミドを有効成分とするクリームにビタミンC誘導体も配合している事をPRしている商品もあります。
下記のオールインワンジェル「シンピスト」は、その例となるヒット商品です。
シンピストに配合されたビタミンc誘導体は、油溶性であることがポイントで、水溶性のナイアシンアミドの浸透力をより強化するとも言われています。
ナイアシンアミドPHは、「7」程度で中性であるのに対し、ビタミンCは酸性でPHは「2」ぐらいです。一緒にすると、ナイアシンアミドは、酸化して「ナイアシン」に代わってしまいます。それが肌の上で起きると、ナイアシンを肌に塗った状態となり、ナイアシンフラッシュが起きる可能性も否定できません。
ピュアビタミンCや高濃度ビタミンCとの併用を避けるロジックに一定合致します。
実際、ビタミンC誘導体ではなく。ビタミンCそのものを高濃度で配合した化粧品はそれほど多くないようですが、
心配な方は、そのあたりをご確認されてはいかがでしょうか。
ナイアシンアミドの美容効果について、いったん、まとめますと、
シワ・たるみ(ほうれい線)の改善、シミ・くすみの改善、美白効果、ニキビ予防とニキビ跡の補修、ターンオーバー促進、肌荒れ防止などの効果があり、肌質は乾燥・オイリー・混合のそれぞれに使用できるスグレもの!と言えます。
だから、エイジングケア化粧品・医薬部外品に多用されています。
スキンケアの目的の大半をカバーできるスゴイ成分なのです。
ナイアシンアミドを有効成分として配合した医薬部外品・化粧品をいくつかご紹介します。
ORBIS(オルビス) 「リンクルホワイトエッセンス 」
今回、ご紹介する商品の中でもブランド力と販売実績、コスパ等の比較において上位にランクされるアイテムと思われます。
オルビスでは、ナイアシンアミドを「W ナイアシン」と呼んでおり、Wとはシワ改善と美白(シミ・ソバカスを防ぐ)の意味。
シワ改善・美白薬用アイテムで30gの容量は競争力あり、コスパ面を評価する口コミも多いアイテムです。
顔全体に使用することで、目に見えているシワはもちろん、自分では気づきにくいシワにも効果を発揮し、顔全体に広がるシミ・ソバカスを予防します。
オルビスの商品全体に言える事ですが、品質保証に関する国際基準「ISO9001」を取得しているので安全かつ高品質です。その特徴の1つとして100%オイルカットがあります。「オイルをなくすことで、肌が本来持っている力を引き出すことができ、美肌に繋げる」とされています。
お試ししやすいトライアルキット(7日分・980円)も用意されています。
ふわふわのヘアバンドのプレゼント付(笑!)
下記リンクより「オルビスUシリーズ」のトライアルキットがご確認いただけます。
オルビスユー・トライアルキット公式ホームページ
最近は、ナイアシンアミドを主成分としたオールインワンゲルも発売されました。
ナイアシンアミド配合のオールインワンゲル「ノビレホワイト」
ここ最近は、ナイアシンアミド配合コスメは、グッとお手頃な商品が出てきました。
ナイアシンアミド配合の「シワ改善・美白クリーム」は大人気
ハーリス・ラップリフトの効果<ナイアンシンアミド&プレテオグリカン>の口コミは?
ナイアシンアミドのスキンケア効果をねらった薬用化粧品は、大人気で販売競争も激しくなっています。
ナイアシンアミドを配合したシワ改善・美白対策商品についてまとめました。☟
ナイアシンアミド・シワ改善化粧品「リンクル商戦」
ナイアシンアミドをサプリメントで摂取する効果
ナイアシンアミドを飲用摂取できるサプリメントもあります。化粧品ほどの話題にはなっていませんが、ユーザーの口コミは良好で、試してみる価値はありそうです。
口コミによれば、美容目的と健康増進の両方があります。ナイアシンフラッシュを防ぐために、ナイアシンアミド・サプリメントを選んだ方もあります。
1日1カプセル、120粒入りで、この価格。しかも国産製品。
Amazonから口コミを引用します。
●海外からナイアシンを取り寄せるのが面倒で、
国内産を探していました。
カプセルも飲みやすい大きさです。
よけいな添加物(ステアリン酸MgやCa)が入っていないのもいいです。
ナイアシンアミドなのでナイアシンフラッシュも起きません。
皮膚や粘膜、神経によいです。
●冷え性、動悸がなくなり、体調良く過ごすことが出来るようになりました。
生涯飲み続けたいです。全身が活性化し日常生活が楽しく送れる幸せ。
●ホットフラッシュで汗がひどく顔にクリームなどをつけれないのですが、 肌の乾燥が治ってきてもちもちしてきました!!
●明らかに肌質が変化した気がします。リピートします。
●更年期のせいもあるのか毎日イライラしていましたが、飲み始めてからは穏やかでいられる時間が増えたように思います。
●これを買う少し前、ナイアシンアミドではなくナイアシンを使用していました。
ナイアシンにはナイアシンフラッシュという、服用後に全身の痒み、ほてりが発生してしまう副作用があり困っていましたが、こちらのナイアシンアミドは性質上フラッシュが起きないので気軽に飲めます(とは言え、もちろんご飯を食べた後に冷たい水で飲むようにはしてます)
あと、錠剤が少し小さいのでそういう意味でも飲みやすいです。
*ナイアシンアミドによるナイアシンフラッシュがほとんどないことは、Wikipedia(☞Wikipedia「ナイアシンアミド」」のページなどにも記載がありますし、化粧品オンラインによれば、肌に対する刺激もほとんどないとされています。
ナイアシンアミドの成分、効果、毒性に関する解説
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【プラファスト】肝斑(かんぱん)消える?シミ対策美白ジェルの成分・効果・口コミを調べて
ナイアシンとナイアシンアミドの違い、まとめ
冒頭で、「ナイアシン」は、ナイアシン(ニコチン酸)のナイアシンアミド(ニコチンアミド)総称でもあり、紛らわしいと記載しましたが、まとめると、ナイアシン(総称ではなくニコチン酸の方)はサプリメントなどに使用されるなど栄養面で活用され、ナイアシンアミド(ニコチンアミド)はシワ改善や美白効果を期待して化粧品に配合されます。
なお、ニコチン酸、ニコチンアミドの「ニコチン」は、タバコに含有されるにニコチン・タールとはまったく関係ありません。
補足:ナイアシンアミドの別名について
ナイアシンアミドは、化粧品メーカーによって配合成分の記載について、ナイアシンアミド以外の名称を用いられることが、かなりあります。別名には、下記の例があります。
・ニコチンアミド
・ビタミンPP
・リンクルナイアシン
・浸透型シワナイアシン
あえてナイアシンアミドの名称を使用しないで、名称を付ける意図は、はっきりしませんが、おそらく商品に独自性を持たせたいためと思われます。「リンクル(英語で日本語の『シワ』の意味)」や「浸透型シワ」をつけるのは、シワ改善効果のアピールと思われます。
この記事をご覧になる方の中には、記事タイトルから、ナイアシンフラッシュについて、調べたい意図がある方もあるかもしれませんので、ナイアシンフラッシュについて、もう少しご説明しておきます。
ナイアシンフラッシュは、善悪共存
ナイアシンフラッシュは、肌が赤くなって、かゆみが発症する、「ピリピリ」とした違和感がある、など不快でツラいイメージが一定ありますが、身体に良い面もあり、血行改善などを目的にナイアシンフラッシュを意図的に発生させることもあります。
ナイアシンフラッシュの利点
ナイアシンフラッシュはナイアシンを多めに摂取すること引き起きます。身体にとってのメリットは下記の例があります。
・たんぱく質や糖質・脂質の代謝を促進し、肌の調子を改善する。(ダイエット効果もある、とされるのは、代謝促進によるもので、体重が減少するわけではありません。)
また、糖類・脂質の代謝を促進する働きは、コレステロール値・中性脂肪の改善に関する効果も注目されます。(ナイアシンは最も安全で効果的なコレステロール抑制手段である(オーソモレキュラー医学ニュース)
・神経伝達物質であるヒスタミンが多く分泌されることによって、脳機能の正常化(ビタミンB3は記憶力を上げるビタミンとも言われている)できる。
・血行促進効果によって、肩こり、手足のしびれの改善などを目的に、医療機関で点滴などによって意図的にナイアシンフラッシュを活用する医療施術もあります。
ナイアシンフラッシュが起きたら?
症状やその程度はさまざまですが、代表的な症状例は下記になります。
・耳や頭皮から手先、全身まで真っ赤になり、かゆみがでてきた
・局所的に赤くなり、かゆみがでる。ピリピリする。
・時に「蕁麻疹」のような外観になることもある。
これらは、全身の毛細血管が開き、強力なデトックス効果、血流を改善させる働きがあるからこそおこる症状とも言われています。一般に2-3時間程度では収まるケースが多いとされます。
ナイアシンフラッシュは危険なのもではなく、好転反応の一種とされています。しっかりと作用している証としての身体反応と考えられます。しかし、赤みが不快であること、皮膚のピリピリ感が怖いなどの不安も伴うため、外出前にナイアシンをサプリメントなど摂取することは避けた方がいいでしょう。なお、ナイアシンを日々摂取していくと、徐々に症状は少なくなる傾向にあります。
参照:厚生労働省・日本人の食事摂取基準(2020 年版)において、
ナイアシン酸摂取による軽度の皮膚発赤作用(=ナイアシンフラッシュ)は一過性のものであり、健康上悪影響を及ぼす
ものではない、と記載があります。
ナイアシンフラッシュに悩む方もあります
実際に、ナイアシンフラッシュの症状が現れると、人によっては耐え難いレベルになることもあります。全身の皮膚がピリピリとかゆくなってきて、肌全体に赤みが出て、さらに体が熱くなってきます。この熱い感じは、「ポカポカ」心地いいと感じるケースもあれば、発熱時のように感じられ、不快であるケースもあります。再発を想像すること自体が、嫌になるレベルとお感じになる方もありますので、一定の留意をおすすめします。
ナイアシンフリーについて
サプリメントとしては、アルコール対策や、乱れた生活習慣のケアのために摂取される方が多いです。一方で「ナイアシンフラッシュ」の症状が回避したい要望もあるため、フラッシュフリーのナイアシン商品もあります。
まとめ
昨今のマスク着用の習慣化は、肌荒れやシワ・シミの遠因になるとの見解から、ナイアシンアミドを配合したシワ対策の化粧品が多数販売されています。化粧品選び、サプリメント選びの際に、下記の点がご参考になれば、幸いです。
・シワ・シミ対策の化粧品(医薬部外品)に配合されたナイアシンアミドは、厚生労働省がシワ改善効果を承認する成分で、ナイアシンフラッシュや肌への刺激は一般にないとされ、敏感肌の方でも使用できます。
・ナイアシンは健康効果が認められ、血行促進や代謝の向上に寄与し、アンチエイジング効果もきたいされます。ただし、ナイアシンの含有量によっては強いナイアシンフラッシュが発症することがあります。
・ナイアシンフラッシュはナイアシンの(過剰な)摂取、塗添によって引き起きる現象。一過性の現象であり、長びく心配はありませんが、かゆみなどの不快感がある点では留意が必要です。